桜武舘おうぶかん 総舘長 桜木哲史
日本の伝統文化「剣道」には作法があり優雅さがある。
人としての心の持ちようを説き、
鍛錬の過程でさまざまな障壁を乗り越える粘り強さを学び、
ライバルとの競い合いの中から柔軟なる思考を身につけ、
思い通りにならない挫折の中から、思いやりを学びとる。
幼少年期、このような体験をすることにより、
集団として、個人として、あるべき姿をみつけ、意識を高め、
個々の人間の内面から免疫を養成し、
誘惑に打ち勝つ精神と
風雅の心を理解できる人材を育成していきたい。
剣士として、選手として、指導者として
過去50年間積み重ねてきた剣道
思春期の子どもたち
家庭と学校のハザマを埋めるパイプ役となり
親と子と学校との絆を一層深める手段として
剣道は貢献できる
子どもたちのメッセージを受け止め
親や大人からのメッセージを子供に伝える役割を果たしていきたい。
昨今、少年犯罪が激増・凶悪化し、更に低年齢化の傾向が見られ社会問題化している。
国民全体の生活レベルが向上し、国民総中流階級といった環境下で物と情報が溢れている。
青少年がいつ・どこで道を間違えても不思議ではないのが現状である。
かって「我が子だけは、・・・。」といった親の考え方が「我が子は大丈夫だろうか?」といった考え軌道修正を余儀なくされているのが当世の風潮である。
子ども・親・学校それぞれが、不安・不満を抱えたまま、精神の消化不良を起こしている。
少子化・高学歴化の社会環境化で、親や学校からの過剰な期待から、知識偏重は一段と加速されている。
世情のそうした傾向を反映してか、子ども・親・学校が複雑に絡み合い、
当事者である子どもの意思は無視され、
思春期の傷つきやすい心は「夕暮れ時、道に迷った子ども」のように途方にくれ、揺れ動いている。
親や周りの大人達は、「子供が発するSOS」を気づかないまま、
気づいていてもどうしようもないまま、
いつの間にか手遅れとなり、双方が心に傷を負う。
更には取り返しのつかない事態に直面することになる。
剣道は単なる習い事ではない。
剣道は習慣である。
鍛錬である。
生きる道である。
繰り返したい。
子どもたちのメッセージを受け止め
親や大人からのメッセージを子供に伝える役割を果たしていきたい。